メニエール病

繰り返すつらい発作 メニエール病外来でしっかり治療、予防しましょう

 めまいといえばメニエール病と言われるほど有名ですが、実際にはメニエール病だけがめまいの原因ではありません。

「めまい」とは、「グルグル回っているように感じる(回転性めまい)」「フワフワしたところを歩いているように感じる」「頭がグラグラする」といった症状の総称で、めまいの種類や、それにともなってあらわれる症状によって病名も変わってきます。めまいの原因をしっかりと診断し、的確な治療をして楽になりましょう。

メニエール病とは

患者さんが疑うメニエール病の症状とは

患者さんがメニエール病かなと思うときは、ほとんどがめまいだけの時です。でも実際に話を聞くと頭を動かした時にめまいがすることがほとんど。それはメニエール病ではありません。また、頭がフワフワする、ぼーっとして集中できないといっためまいもメニエール病てゃ違います。それでは、メニエール病とはどんな病気でしょうか。

 患者さんがメニエール病を疑わなければならない症状は、「めまい・耳鳴り・難聴」があらわれた時です。激しいめまいを繰り返しているときは要注意です。

 また、メニエール病を発病する患者さんの共通点、原因には「ストレス」「睡眠不足」「疲労」「気圧の変化」「几帳面な性格」などが関係していると言われています。

メニエール病の症状と診断基準

メニエール病は、何の誘引もなく突然、回転性(ぐるぐる回る)めまいが起こり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴りや耳の閉塞感、難聴が起こります。

 めまいを繰り返す間隔は人によって違い、数日、数週間、数カ月、あるいは1年に1回などさまざまです。

 激しいめまいは、普通30分くらいから数時間続き、めまいの軽快とともに耳鳴り、耳の閉塞感、難聴は軽くなったり消失したりします。しかし、めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいがおさまっても耳鳴りや難聴は軽快しないようになります。

 めまいが激しい時は、これらの症状以外にも吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などが起こることもよくあります。

 メニエール病は「くり返す」エピソードがあって初めて診断できるため、十分な問診が必要です。めまいの診察では体のバランスを調べる検査や眼振検査をおこないます。聴覚症状に対しては耳内を観察し、聴力検査を行います。

症状がめまいのみでも、隠れた難聴がある場合を想定して聴力検査を行う必要があります。逆に聴覚症状のみでも、隠れためまいがないか眼振検査を行う場合があります。

 聴力検査では、メニエール病に特徴的な難聴が認められます。特徴は、低音障害型(低い音が聞こえにくい)あるいは水平型で補充現象(音が響いて聞こえる)などが確認されます。

 また、厚生省特定疾患研究班調査によると、メニエール病は女性に多く、発症年齢は30歳代後半から40歳代前半に最も多く発症しています。

メニエール病の診断兆候

  • 繰り返すめまい発作

  • 耳鳴り

  • 難聴

  • 内リンパ水腫

内リンパ水腫とは

内リンパ水腫は、水ぶくれの状態

内リンパ水腫は、内耳の中の内リンパ液が過剰になり、内耳が腫れた状態になることです。

 内耳はカリウムに富んだ内リンパ液で充填された膜迷路と呼ばれる器官と、骨迷路と膜迷路の間を充填するナトリウムに富んだ外リンパに別れています。

 メニエール病の本体である内リンパ水腫(膜迷路に内リンパ液が過剰に貯まり、膨らんだ常態である)の内圧上昇により内リンパと外リンパを隔てている膜が膨張し、ついには破裂すると、カリウムに富んだ内リンパとナトリウムに富んだ外リンパが混合し、平衡や聴覚をつかさどっている感覚細胞が化学的刺激を受けること、あるいは物理的な刺激を受けることなどが、激しいめまいや聞こえの症状としてあらわれます。 内リンパと外リンパを隔てている膜は短時間で閉鎖しますが、再度内リンパ液が貯まるとまた膨張・破裂を繰り返し、めまいや聞こえの症状も繰り返すことになります。

低音障害型難聴とは

【低音障害型難聴】

【水平型難聴】

低い音を感じる神経が障害された難聴が急に起こった状態です。典型例では、聴力検査で250Hzを中心に谷状の感音難聴がみられます。蝸牛の中心部が障害された場合に起こりますので、内リンパ水腫の初期に起こりやすい難聴です。

 初めて発症した場合には、ストレス性の血行障害やウイルス感染による一時的な低音障害型突発性難聴によるものか、蝸牛型メニエール病の初回発作かどうかの区別がつきませんので、再度の発症に気を付けなければなりません。当院では、病院で突発性難聴と診断されたが、その後、何度もめまいと難聴を繰り返し悩んでいると相談される患者さんも少なくありません。

良性発作性頭位めまい症

寝返りを打った時、急に振り向いた時にめまいがあらわれたら要注意

良性発作性頭位めまい症の特徴は、

  • 頭を横に動かすとめまいを誘発する

  • 頭を動かさなければめまいは起きない

  • 難聴はあらわれない

 

ということがあげられます。

ストレスや疲れが溜まっている人、睡眠不足の人、肩こりが強い人等は要注意です。

椎骨脳底動脈不全症

長年、めまいとそれに伴う様々な症状に苦しむときは疑いましょう

心臓からでた動脈が、首の骨である頸椎の中を通る椎骨動脈と、そこから後頭部の所に来て脳の中に入って行く脳底動脈の総称を椎骨脳底動脈といいます。

 椎骨動脈は、頸椎にある細い穴を通っているので、頸椎のズレや頸椎周りの筋肉の緊張などの影響をうけやすく、脳底動脈は、後頭部のところで急カーブして脳に入って行くので、後頭部周りの筋の緊張の影響をうけやすい構造となっています。

 椎骨脳底動脈不全症とは、動脈硬化により血管がアテローム変性し、通り道が細くなっている状態を指しますが、頸椎のズレや周りの筋緊張の影響で血流不全になる場合も、椎骨脳底動脈不全症の症状があらわれます。

めまいを伴う症状チェック項目

椎骨脳底動脈不全は、めまいとともに以下の様な症状があらわれます

  • 難聴や耳鳴りなどの耳の症状が現われることはほとんどない

  • 靴を履くなど下を向いた時にめまいが起きやすい(縦の動き)

  • 手足のしびれ

  • 頭痛

  • 嘔吐や 吐き気

  • 物が二重に見える(複視)

  • 霧がかかったように見える(霧視)

  • 意識が遠のく

  • 冷や汗

  • ​口周囲のしびれ

メニエール症候群

患者さんからしたらメニエール病と変わらない

メニエール病とは別に、メニエール症候群という病気もあります。これは、メニエール病と同様に「めまい」、「耳鳴り」、「難聴」の症状があらわれますが、違いは「内リンパ水腫がない」ということです。

レルモワイエ症候群

「めまい」から症状があらわれない病気

めまいがあらわれる病気の一つとして、レルモワイエ症候群という病気があります。メニエール病は、繰り返す激しいめまいが先にあらわれますが、レルモワイエ症候群は、難聴や耳鳴りの後に「めまい」があらわれます。また、メニエール病同様に「内リンパ水腫」が確認できます。

めまいがあらわれる病気で、早急な対応が必要な病気は脳に原因がある時

小脳出血

小脳出血の症状は、回転性めまい発作、頭痛、嘔吐が特徴的で、四肢の麻痺や意識障害も早期にあらわれ、項部硬直(こうぶこうちょくとは、あおむけで頭を持ち上げると抵抗があること)、眼振もあらわれます。

その他、Wallenberg 症候群(後下小脳動脈閉塞)、前下小脳動脈梗塞なども注意が必要です。

子供のめまい

子供に最も多いめまい

子供に最も多いめまいには起立性調節障害という病気があります。これは体の発育に比べて循環器系や自律神経系などの身体機能の発育が未熟なために、急に立ち上がった時に必要な頭蓋内への急速な血液供給が間に合わない場合に発症します。いわゆる脳貧血状態です。

 症状は立ち上がった時の「眼前暗黒感」、「ぐらぐらするめまい、立ちくらみ」、「嘔気」、「頭痛」、「腹痛」などです。
 したがって、問診上で典型的な回転性めまいの訴えの場合には起立性調節障害以外の他のめまい疾患を考えるべきです。

 小児自律神経研究会が作成した起立性調節障害の診断項目は大症状と小症状の二つに大別されています。

大症状

  • 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい

  • 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる

  • 入浴時あるいは、嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる

  • 少し動くと動悸あるいは息切れがする

  • 朝なかなか起きられず、午前中調子が悪い

小症状

  • 顔色が青白い

  • 食欲不振

  • 強い腹痛を時々訴える

  • 倦怠あるいは疲れやすい

  • 頭痛をしばしば訴える

  • 乗物に酔いやすい

  • その他

めまいをともなうメニエール病等に対する鍼灸治療

まずは首・肩の血流循環を確保することが絶対条件

めまいを伴う病気に共通することは、首から上に血液がうまく循環しなくなっていることです。そのため、首周り(後頭部、後頚部、側頚部、肩甲間部)等、悪影響を及ぼしている部分の筋緊張を緩め、血流不全を起こしている状態を解消していくことで、めまいを解消し、めまいが起こらない状態にしていきます。

めまいの原因となる組織:後頭下筋群

後頭下筋群とは、頭の後頭骨から首の骨(頚椎)に、付いている筋肉で最も深い所にある筋肉で、小後頭直筋、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の4つの筋肉から構成されています。 

 後頭下筋群が緊張してくると、この筋肉の奥にある後頭下神経、大後頭神経、症後頭神経が圧迫されめまい、耳鳴り、頭痛や頭重感、首の思い痛みなどが出てきます。
特に、リウマチの方や交通事故でのむちうちを経験している方は症状が強く出やすい場所です。

メニエール病、めまい治療の流れ

1.問診

当院では、まず患者さんからめまいや体の気になる症状、どんな時にめまいが気になりのか、悪化するのか内容をうかがって、症状の原因を突き止めます。 
その後、治療内容と今後の方針を極力わかりやすく説明させていただき、患者さんにご納得いただいてから治療に入ります。
男性では、社会的立場、環境、生活習慣を考慮し、女性では、どの年代においても女性ホルモンの関係、女性ならではの症状としてあらわれます。そのため、どんな症状でも、女性ホルモンとの因果関係があるのか確認する「問診」をとても大切に考えています。

2.検査

問診後は、実際にどのような状態なのか、めまいの原因が何なのか他覚的に確認するための検査をします。
また、小脳梗塞やくも膜下出血等の重篤な要因があるのかも把握しなければなりません。
 症状によっては、すぐ病院に行き処置をしなければならない病気が潜んでいることもありますので、治療前の大事な作業です。また、脈を診ることで、自律神経の変化や生理周期の変化も読み取ることができるため確認します。

 検査項目は、西洋医学的な検査に加え、東洋医学的な診断もおこないますので、脈をみたり、お腹の状態を確認したりすることもあります。単純に、デスクワークやスマホの使い過ぎによる頭痛、日本女性特有の「なで肩」からおこるめまいなら、治療と同時に姿勢を気を付けるだけでも楽になってきます。

3.鍼灸治療

問診と検査等の後は、ベッドに横になってリラックスしていただいた状態でめまい、難聴等の治療を開始します。
 体の状態が冷えているのか、硬く緊張しているのか、逆に軟弱になっているのか、一部の組織が炎症反応を起こしているのか、患者さんの主な訴えと関連する部分はあるのかなど把握したうえでその日の体の状態に合わせたツボに鍼灸治療をおこないます。
 鍼は髪の毛と同じくらいの太さ0.1mmほど、お灸は、火が直接肌に触れないものを使用していますので、火傷やお灸の痕が残る心配を極力減らします。
 お灸にはリラックス効果だけでなく、血行の促進や抵抗力を高めて体を強くしてくれるといった様々な作用があります。また、鍼治療の後にお灸をすることで、治療効果が持続する作用もあります。

4.電気治療

患者さんの症状によっては、鍼や灸に加えて、より血行を促すため、運動不足を解消するために電気治療を併用する場合があります。

 電気治療というと「ビリビリ」という痛いイメージが先行しがちですが、実際には眠ってしまうような心地の良いごく微弱な電流を流す程度です。
 この治療は体の表面にある皮膚や筋膜、筋肉を刺激して血行を促すものですので、妊娠中の方などでも問題なく受けていただけます。肩は、頭を支えている首の付け根にあり腕や肩甲骨も支えています。

東洋医学では内臓も吊り下げて内臓の機能に関わっていると考えられていますので、、鍼灸治療の後に電気刺激をおこなうことで一気に全身の血行が良くなりめまいの軽減だけでなく再発も予防することができます。

突発性難聴と診断された時、それはメニエール病の前兆かもしれません。激しいめまいを繰り返している患者さん、メニエール病とすでに診断された患者さん、めまいに関係する症状は早急に鍼灸治療して症状の改善、予防に取り組みましょう。